小さい力で大きいものを動かす「てこ」のように、少ないお金で効率的に大きな収益を得られる証拠金倍率とも言われる「レバレッジ」をきかせることが、FXでは可能です。
早速レバレッジについて説明を……といきたいところですが、まずはレバレッジと深く関わりのある「証拠金」について、そしてその後にレバレッジについて解説しようと思います!
証拠金って?
ざっくりと証拠金って?という見出しにしましたが、FXをやっっていくうえで重要な、知っておいて損はない「証拠金」がついた単語をいくつか挙げます。
いろんな証拠金
- 証拠金:FX会社に担保として預けるお金
- 必要要証拠金(取引証拠金):通貨を購入するのに必要なお金
- 有効証拠金:証拠金と含み損益を合計したお金
- 余剰証拠金:有効証拠金から必要証拠金を引いたお金
まとめると上記のようになりますが、ひとめ見ただけではわかりにくいと思うので、図を交えながら紹介していきましょう。
ここから計算もはいってきますが、断りがない限り下記の条件で計算していきたいと思います。
・資金は10,000円
・為替レート:1米ドル=100円
・1000通貨購入
証拠金、必要証拠金
通貨を売買し決済するまでの間、通貨を持っている状態のことをポジションといい、ポジションをとるためには取引額に応じてFX会社に担保として預け入れる最低限の資金(証拠金)が必要です。
その最低限の資金のことを「必要証拠金」といいます。
必要証拠金=現在の為替レート×購入通貨数÷レバレッジ数
レバレッジ25倍をかけて購入しようとすると、(100円×1000通貨)÷25倍という計算になり、最低でも4000円が必要証拠金として必要になるということになります。
有効証拠金
「有効証拠金」は証拠金と取引で手に入ったお金(含み損益とも言います)を合わせた合計のお金のことで、実質証拠金や純資産と言われることもあります。
FXの取引を行って実際に得たお金のことで、プラスであれば稼げた、マイナスであれば損をしているという状態を指しています。
有効証拠金=証拠金+損益額
必要証拠金4,000円+含み損益を足したものが有効証拠金なので、
5,000円の利益が出ているなら4,000+5,000円=9,000円
1,500円の損益が出ているなら4,000円−1,500円=2,500円
といったぐあいになります。
証拠金維持率
「証拠金維持率」は証拠金がどれだけの割合で残っているのか、維持できているのかを数値化させたものをといいます。
証拠金維持率が下がると、購入している通貨を強制的に決済させてしまう機能である、「ロスカット」が働く可能性が高まります。
証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100
わかりやすくまだ取引を開始してない状態で考えてみましょう。
まだ利益も損もしていないので、口座に預けたお金10,000円のみが有効証拠金となり、それをこれから取引をするのに最低限必要なお金である必要証拠金4,000円で割って×100をすると、250という数字がでます。
これが証拠金維持率で、必要証拠金が250%の割合で残っていることがわかります。
同じように損をした時の計算もしてみましょう。
3,000円の損をすると10,000円−3,000円=7,000円が有効証拠金となり、4,000円で割って×100をすると、175%となります。
これらのことから証拠金維持率というのは、取引をして損をすると数値が小さくなってしまいますし、利益がでてくると数値は大きくなるということがわかりますね。
余剰証拠金
「余剰証拠金」は有効証拠金から必要証拠金を引いたお金のことで、口座にどれだけの余裕があるかを数値であらわしたものです。
この数値がマイナスになると通貨購入ができなくなったり、取引の強制決済であるロスカットされたりする可能性があります。
この余剰証拠金が下がると証拠金維持率も下がるため、この二つは密接であるといえます。
余剰証拠金=有効証拠金−必要証拠金
取引する前であれば、口座にいれたお金10,000円ー必要証拠金4,000円=6,000円が余剰証拠金となります。
まとめ
・通貨を買うために「必要証拠金」が必要。
・「有効証拠金」、「余剰証拠金」が低くなってしまうと、「証拠金維持率」が低くなってロスカットにより、取引が強制的に終了する可能性がある。
・余剰証拠金が少なくなってしまうと、新しく通貨を買うことができなくなる。
レバレッジってなんだろう?
証拠金についての説明が終わったところで、早速レバレッジについて知っていきましょう。
レバレッジに危険なイメージを持つかたは少なからずいることかと思いますが、少しでもわかると効率よく安全に利益を得ることができる優れものです。
このレバレッジ、最大レバレッジ「最大レバレッジ」と「実行レバレッジ」の2つがあるのをご存知ですか?
この2つ、それぞれなにを表しているのか下記に記してみました。
レバレッジってなんだろう
- 最大レバレッジ:口座に入っている資金に対してマックスでどれだけ大きなポジションをたてられるか
- 実効レバレッジ:持っているポジションが口座に入っている資金に対して何倍か
言葉だけでは難しいですね。順に説明していきましょう。
最大レバレッジ
実はこの最大レバレッジですが、かけられるレバレッジの数値が大きいほうが比較的安全といえるのです。
なぜなら証拠金が少なくてすむからです。
例えば口座に10,000円があり、為替レートが1ドル100円で1000通貨買うとして、レバレッジを25倍かけた時と1000倍かけた時とで比較をしてみましょう。
国内FX 最大レバレッジ25倍 |
海外FX 最大レバレッジ1000倍 |
|
---|---|---|
必要証拠金 | 4,000円 | 100円 |
余剰証拠金 | 6,000円 | 9,900円 |
実行レバレッジ | 10倍 | 10倍 |
証拠金維持率 | 250% | 10000% |
高いレバレッジをかけると、少ない資金ですむことで余剰証拠金が多く残り、証拠金維持率も高くなります。
証拠金維持率が高いと、レートの変動により必要証拠金の額に近付いても(損がでている状態です)、ロスカットされる確率が25倍の時よりも低くなります。
このようなことからも、リスクを低減させて安全にFXの取引をしたいというかたにこそ、海外ブローカーがおすすめです。
実効レバレッジ
対するこちらの実効レバレッジ、みなさんが「FXって大丈夫?」とイメージする要因のひとつだと思われます。
いったいどんなものかというと、レートが1米ドル100円で口座に1万円入っており、証拠金として9000円(取引通貨量=1,000通貨×90)に最大レバレッジ1000倍をかけたという状態で考えてみましょう。
レート×取引通貨量÷口座残高=実効レバレッジ
上の公式にあてはめて計算すると、
100円×(1,000通貨×90)÷10,000円=900倍
まさにハイリスク・ハイリターン!!
レートがちょっと下がるだけで含み損が一気に増加し、残りのお金(余剰保証金)が全部なくなって、取引が即座に終了なんてことになってしまいます。
強制ロスカットとマージンコール
「強制ロスカット」は先ほど説明したように、レートの変動によって各FX会社(ブローカー)が設定している証拠金維持率より低くなった時に、それ以上の損失がでないように、自動的に持っているポジションがすべて決済されてしまう機能のことです。
そして「マージンコール」は、証拠金維持率が一定のレベルより低くなった時に証拠金の追加、または持っているポジションの決済を要求されることです。
このマージンコールに対してなにも対処をしないと、強制ロスカットが働く、という仕組みになっています。
やり方次第、ハイレバレッジ
ハイレバレッジを利用できると思うと、ついついリスクを取り気味になるかたが多いと思います。
それで失敗してしまった、なんてかたもいらっしゃると思うので、今回はこんなやり方をお教えいたします。
「入金を分散」
例えば、10万円をトレードの資金にするとします。
1つの通貨ペアに多額の資金を投入するのではなく、2万円ずつ複数の通貨ペアに入金することでリスクを分散させることが可能です。
しかし、複数の通貨ペアをトレードする際それぞれの通貨ペアに低いレバレッジをかけていても、合計したらハイレバレッジなトレードになっていたというケースもあるので、注意が必要です。
また、価格変動が小さい通貨ペアの売買もおすすめです。